令和3年度 シンガポールにおけるテストマーケティングの開催

 富山県と当機構では、東南アジアの交易・経済拠点でありマーケティングリサーチに最適な環境であるシンガポールにて、食品、日用雑貨、伝統工芸品などの県産品のテストマーケティングを今回初めて実施しました。
 実施期間は7月の1ヶ月で、現地のビジネス街に立地する日本好きなシンガポール人が集まる「JAPAN RAIL CAFÉ」店内の物販エリアにて、県内企業15社(食品8社、非食品7社 24商品)が参加。各社2週間程のテスト販売と、現地消費者を対象としたモニタリング調査を行いました。

テストマーケティング食品関連

① テストマーケティング 食品関連

テストマーケティング非食品関連

② テストマーケティング 非食品関連

 ネットを積極的に活用したプロモーションを実施し、「富山県フェア」と銘打ってFacebook等で情報を発信したほか、カフェHP記事では来県経験のあるライターによる観光スポットや食材、伝統工芸品の紹介記事が配信され、7月中TOP3に入るPV数となりました。会場内には、立山黒部アルペンルートや世界遺産五箇山合掌造り集落などの県の観光ポスターの展示や、動画の放映を行ったほか、カフェスペースでは、富山県産白エビを使用した「エビかき揚げバーガー」の提供も行われ、富山県フェアを盛り上げました。

テストマーケティングの様子

③ テストマーケティングの様子

会場内 富山県PRポスター

④ 会場内 富山県PRポスター

 テスト販売は、7/1~7/15までは食品関連、7/16~7/31は非食品関連商品を中心に期間を分けて実施。なお、新型コロナウイルス関連の現地規制により、7/21以降は規制が強化され、店舗内飲食は不可となり、テイクアウトとデリバリーのみ利用可能となったため、来客数も前半と比べ後半は半分ほどに減少しました。

 前半の食品関連の商品は、米菓や麺類を中心に全体的に好評で、期間終了後に「どこで購入可能か」といった問合せもありました。白えびを使ったせんべいは、用意した商品がほぼ完売し、アンケートでも「味わいがあり、さくさくな食感が良い。」「パッケージデザインが良い」といった声が聞かれました。ほたるいかの加工品は、現地在住の日本人が購入し完売しました。麺類の売れ行きも好調で、特に食感の良さを評価する声が聞かれ、麺類好きのシンガポール人には合っていたようです。また、酒税がかかりかなり高価格になるため販売が難しいとされる日本酒も好評で、富山フェアの集客にも高い効果を発揮したようです。
 一方、後半の非食品関連は、全体的に販売が伸び悩み、来場者からは、価格の高さから「商品の特性をよく知った上で購入したい」、「(普段使いの商品と比較し)手が出しづらい」といった意見がありました。しかしながら、CAFÉの来客(WEBサイトへの来訪者を含む)75名を対象に行った「富山県フェア」に対するアンケートでは、伝統工芸品や化粧品についても30%以上の「興味あり」との回答があり、見せ方、売り方次第では十分に販路拡大の素地は大きいと考えられる結果となりました。

 当初、店頭で実施予定だった試食や試用によるアンケート調査は、コロナ禍による規制のため、現地在住の一般消費者20名によるモニタリング調査に変更し実施しました。食品関連では「味」「パッケージ」「内容量」、伝統工芸品では「魅力度」、日用雑貨は「香り」「成分」「仕様」など、共通の質問では「支出可能な金額」といった質問に回答してもらいました。
 食品はどの設問も比較的高評価で、菓子や麺類は食感や香りの良さを、レトルトのお粥では口当たりの良さ、調理のし易さ、持ち運びの良さを評価する声が挙がりました。また、パッケージについては中身が見えるものや写真付きのものが支持された一方、英語表記を求める声が聞かれました。内容量では、小袋タイプや少量タイプの商品が好まれる傾向が見られました。
 伝統工芸品も全体的に高評価で、デザインのユニークさや日本を感じられる絵柄に魅力を感じるといった声が聞かれました。
 日用品では、既に浸透している成分や香りは受け入れられやすい傾向が見られました。
 価格の面では、全体的に設定価格が支出可能な金額を上回る結果となりました。

 実施後には、各企業に今回得られた成果を今後の海外向けの商品の改良や販路開拓に役立てていただくため、テスト販売やモニタリング調査について報告を行いました。参加企業からは、「現時点での商品評価の把握、現地消費者の嗜好、ニーズの把握ができた。」「今後、価格設定の見直しや海外戦略の策定に役立てる」といった声が聞かれました。

 コロナ禍で海外渡航が制限され現地調査や新規市場の開拓が困難な中、当機構としては、こうした取組を通じ、シンガポールをはじめ、ASEAN周辺国における富山県産品の販路開拓を支援していきたいと考えています。

(本事業は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した事業です。)

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