第1回北陸(日本)・韓国経済交流会議にあわせ、平成12年7月6日、富山第一ホテルにて韓国産業資源部主催の韓国投資環境説明会が開催されましたので、その概要を以下のとおりご紹介いたします。

 ゴールドウィンはお隣の国、韓国への進出に早い時期から高い関心を持って交流してまいりました。現在、韓国で生産、販売合弁会社ゴールドウインコレアを有しております。一般論として、海外合弁は難しく、韓国となると一層難しく、成功例が少ないといわれてきました。そのような中で、92年設立以来、今日に至るまで利益を出し続けてきております。私共の成功、小さな成功ではあり ますが、偶然ではないと思っております。私共は失敗しないためにもどうすればよいか、よく検討を重ねて慎重に合弁の骨組みを組み上げました。
   まず、韓国進出の目的を明確にしました。①日本の競合メーカーに先駆けて隣国で私共のブランドの確立を図ること。②韓国が数少ない高級スポーツウェア素材の供給国として台頭してくる可能性があり、素材情報をいち早く掴み日本における競争で優位に立ちたいと言うこと。③日本の一般的な海外進出の方法とは違い、隣の国から海外進出をはじめようとしたことでした。往来や駐在にも便利であり、海外進出のためにも人材育成にも繋がると感じたからです。
 次に合弁のパートナー探しにあたって、細心の注意を払いました。国内合弁であれ海外であれ、成功するかしないかはパートナー次弟であります。重視したのは①経営者が過去の不幸な日韓関係に心情的にとらわれていないか。②パートナー関係に補完関係と相乗効果が期待できるか。③経営者として優れ、お互いに尊敬できるパートナーであるか。④合意された現地パートナーとしての役割を資金的にも機能的にも果たせるかということです。パートナー候補を絞り込むにあたっては、現地に進出しておられた日本商社のアドバイスと支援を仰ぎました。
 次にパートナーの役割分担、責任の明確化というものが重要と考えました。合弁における私たちの役割としては製造技術の指導、商品デザイン、商標使用権の許諾、マーケティング指導であり、ヤンバンコーポレーションとしての役割としては、合弁会社の経営、生産、販売でした。もう1つ重要だと考えたのは、経営を現地パートナーに任せたことですが、ただ単に社長をお願いしたということではなく現地パートナーに過半数株主になっていただき、自分たちの会社であるという意識と経営責任を明確にもってもらうようにしました。ただし、経営の重要事項に関しては私共の賛成が必要になってきます。これは韓国での合弁がうまくいかないという一般論に対する私共の一つの対策です。
 さて、骨組みが良くても実際の事業が儲かるものでなければ成功しません。韓国でやろうとしたのは日本でナンバーワンであるスキーウェアの韓国の生産・販売です。韓国では規模は小さいがスキーヤー人口が急速に伸びていました。私共のデザインと製造技術を、ヤンバンコーポレーションの生産力に結びつければ、必ず韓国でもナンバーワンになれると思いました。但し韓国のスポーツ用品市場の流通は未整備で、ヤンバンコーポレーションはその開拓に力を発揮してくれました。また合弁として規模を拡大し相乗効果を期待し、スキーウェアにスキー用具ビジネスを加え総合化を図りました。98年にはスキービジネスからアウトドアビジネスへ範囲を広げました。韓国では山歩きがメジャースポーツであり、そのマーケットへの参入は合弁の経営を安定・強化させるという意味では大いに貢献してくれました。
 合弁以外の分野でもヤンバンコーポレーションとパートナーを組むことにより大きな恩恵を受けております。欧州の販売子会社である合弁ヨーロッパはヤンバンコーポレーションのバングラディシュ工場、中国工場から商品の供給を受けております。また中国でのビジネス、マーケティング分野でも協力を話し合っております。将来日本海を中心に、極東経済圏が形成されるのではないかと思います。この様な環境の中でヤンバンコーポレーションとの戦略的提携をベースにビジネスを北朝鮮、ロシアにも拡大したいと思っております。そういう意味では、韓国合弁はただ単に韓国にとどまらず、韓国を核とした極東アジア、ひいては世界戦略であります。
 今後も韓国側パートナー関係の一層の緊密化、強化を図っていく所存でございます。
 以上ではありますが、私共の小さな経験ですが、韓国の投資を考えておられる皆様に一助になればと思った次弟です。ありがとうございました。

 

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