■環日本海専門情報誌■No.18



(富山県研修生 板屋雄介:日本貿易振興会中国・北アジアチーム)

 日本海沿岸の主要港(北海道から福岡までの1道1府11県に所在する港湾・空港。以下、「当地域」)における環日本海諸国(ロシア、中国、韓国、北朝鮮)との96年の貿易は、輸出は6,076 億1,300 万円(前年比5.2%増)、輸入は9,858億4,800万円(同10.0%増)、貿易総額では1兆5,934億6,100万円(同8.1%増)となりそれぞれ順調な伸びを示した。しかし、当地域の全国に占めるシェアでは、輸出10.6%(前年比0.7ポイント減)、輸入14.9%(同1.5ポイント減)、総額では、12.9%(同1.0ポイント減)となっており、わずかではあるが全国の伸びを下回った。今年の傾向は、前年好調だった輸出の伸びに鈍りが出始め、輸入は中国が前年比23.3%と昨年に続いて大きく増加したこともあり、貿易赤字は前年より593億8,600万円増しの3,782億3,500万円となった。貿易額は青森と京都を除いて増加しており、特に秋田、山形、新潟、鳥取が、それぞれ49.3%増、32.7%増、42.3%増、35.5%増と大きく伸びた。

韓 国
 韓国は引き続き、当地域で一番の貿易相手国であり、貿易総額8,495億4,800万円(前年比3.8%増)で全体の53.3%を占める。輸出額は4,214億6,100万円(同5.3%増)、輸入額は4,280億8,700万円(同2.4%増)と伸びてはいるが、いずれも全国の伸びを下回っている。これは、当地域の84.2%を占める福岡、山口の貿易総額が微増に終わったためである。一方で、新潟、石川、福井など北陸地方での貿易が活発になってきており、富山を含めた4県の総貿易額は804億6,300万円(同17.7%増)で、当地域の9.5%(シェア1.2ポイント増)を占めるようになった。

中 国
 中国との96年の貿易は全国的な伸びに従い、当地域でも、輸出は1,613億2,900万円(前年比7.0%増)、輸入は3,579億5,800万円(同23.3%増)、総額で5,192億8,700万円(同17.7%増)となった。中でも目を引くのが新潟の伸びであり、貿易総額が452億1,900万円(同88.3%増)と昨年に引き続き大きな伸びを示し、当地域のシェアを8.7%(前年比3.3 ポイント増)とした。中国からの輸入額はここ数年来20%以上の伸びを続けており、それに伴って品目も石油などのエネルギー資源や電気機器、機械類などが上位に現れてきている。

ロシア
 今年の当地域とロシアとの貿易は、輸出額は176億6,200万円(前年比12.6%減)であったのに対して、輸入額は1,872億1,800万円(同7.7%増)で、当地域の極端な輸入超過傾向に拍車がかかってきている。総額では2,048億8,000万円(同5.6%増)で、全国シェアの38.0%(同2.9ポイント増)を占め、同国の当地域に対する依存度はますます高まっている。貿易額が多いのは、北海道(当地域シェア40.4%)、福岡(同15.9%)、富山(同15.6%)の順となっている。主要品目では、輸入品は従来どおり、木材、アルミニウム、魚介類が中心であるが、輸出品においては、上位に占める自動車の割合が増加している。

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)
 北朝鮮との貿易総額は197億4,600万円で、環日本海諸国と当地域における貿易総額のわずか1.2%にすぎないが、その全国シェアは35.0%となっており、当地域に対する依存度は大きい。中でも新潟の占める割合が高く、貿易総額では当地域全体の48.0%(前年比5.5ポイント増)を占め、輸出に至っては49億3,600万円(同27.1%増)で、当地域シェアを68.9%(同5.4ポイント増)まで伸ばした。また、輸入は125億8,500万円(同9.4%減)となっているが、これは、京都の輸入額が昨年に引き続き、60.2%減と大きく落ち込んだことが影響している。





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