■環日本海専門情報誌■No.23


大連市投資環境説明会 大連市長講演要旨


(大連市人民政府市長 薄 熙来)


平成10年6月の富山大連間の定期航空便の就航を控え、今後大連との活発な経済交流が期待されております。本稿では、大連市長が平成10年4月17日に来県し、「大連市投資環境説明会」(主催:大連市、共催:富山県、ジェトロ富山、北日本新聞社)を開催した際の講演の主要部分を紹介したいと思います。

 尊敬する新原副知事、尊敬するご来賓の皆様、こんにちは。本日はこの綺麗なホールで、富山県の皆さん一同に会しまして、大連市の状況をご説明する機会に恵まれまして、とてもうれしく思っております。
大連市政府代表団として、これほど大規模な投資セミナーを貴県で開催することは初めてで、私本人も始めて貴県に参りました。
 私は、ずっと以前から一度、是非富山に行きたいと思っておりました。富山県は非常に実力のある県として有名でありますし、将来に向けても非常に大きな可能性が潜んでいると思います。大連という都市も、中国では一番大きな都市ではありませんが、とても活力に溢れた都市であると思います。また、大連は非常に若い都市でありまして、100年足らずの歴史しかありません。今年は99歳でございます。
 大連は今、中国の北方において工業、観光、貿易の都市として位置づけられています。また中国の北方において、最も外国企業の進出が集中しているところでもあります。今現在既に800社の韓国企業、850社の米国企業、1619社の日系企業、約2000社の香港進出の企業が有ります。過去5年間を平均すると毎年約900社の外国企業を認可しました。契約ベースの外資金額は20億ドルであります。去年、中国各都市の外資利用額の中では、上海が一番、天津が2番、第3番目が大連でした。日本は私どもの海外における最も大きなパートナーであります。
 大連が過去数年間、特に対外交流で大きな発展を遂げたのは、次のいくつかの原因があると思います。まず、大連には中国北方最大の天然の良港があります。そして、現在シンガポールとの合弁で建設を進めているコンテナバースが完成しましたら、中国北方で最も大きなコンテナバースとなります。また同時に、中国最大の食料専用バースと石油専用バースの建設も急いでおります。今現在、中国東北部の8割以上の貨物輸出が大連港を通しております。中国経済は大きく分けると二つのブロックがあります。一つは上海を中心とする経済ブロックで、軽工業と商業が発達しています。もう一つは大連を中心とする東北経済ブロックであり、重工業が発達し、資源も豊かです。
 このような優れた地理的な立地条件に恵まれていますので、大連市はすでに中国東北部の交通の要所となっております。去年大連に訪れた国内外の観光客の数は1800万人にのぼりました。また、中国北方の各企業が大連に盛っている駐在機構は既に3000余りあり、海外の会社と銀行の駐在機構も1000社以上有ります。大連はすでに中国北方において最大の商業と情報の発進地となっております。ですから、大連は東北全体とビジネスが出来る条件が揃っているとともに、外国企業が東北に進出するための玄関口でもあります。
 第2点目は、大連には非常に良い工場の基礎があります。大連には現在中国最大の造船工場があります。また、中国各地で走っているディーゼル機関車の6割以上が大連で造られています。そして、大連と松下電機との合弁で造られたビデオの生産工場は、中国最大の電子工場であります。また、大連のベアリング、石油精製、加工、工作機械、電子、ファッション、水産加工なども非常に活発に行っております。特にここで紹介したいものは、瓦房店市にある中国最大のダイヤモンドの炭鉱で採れたダイヤモンドの量は中国の半分以上を占めております。品質も良くて、南アフリカのダイヤモンドよりも良いと言われています。 大連への投資者が大連に進出しますと、良いパートナーと熟練の労働者を簡単に探すことが出来ます。
 また、大連市は技術者と労働力の量も豊富でございます。大連には200社ぐらいの大企業がありまして、16校の大学が有り、約200校の研究所があります。そして、約10万人の熟練の技術者がおります。一般労働者と技術者の給料の水準は、南方の都市より3割ほど低いものであります。ですから、大連で事業展開すると、人件費が割と安く済みます。 また、大連市のマーケットも非常に大きいものが有りまして、大連の後背地には3億くらいの人口が住んでおります。しかも、中国政府は大連の発展を非常に重視しており、大連には中国北方東北経済の龍頭の役割を果たして欲しいと要求しております。
 また中国政府によって、大連で中国北方最大の開発区と保税区も建設されました。 また、ニューハイテク産業区も造られました。中央政府の方から大連市に、省と同格の権限が与えられています。従って、大連に進出した企業に対しては優遇政策があります。また、手続きの認可時間も非常に短いものであります。外国の企業はもちろん、大連に工業進出もできますし、委託加工もできます。その他に、貿易、金融、運輸など様々な面への進出を歓迎しております。
 大連市も富山県と同じく、とても気候の快適なところであります。3面海に囲まれた都市であります。また、海産物とリンゴの産地でもあります。
 また近年来、大連市は大規模な環境整備も行ってまいりました。市内の200万㎡くらいの古い家を取り壊し、平均して毎年市内に100万㎡くらいの芝生を作りました。つまり、市内に天安門広場の倍くらいの面積の芝生を毎年大連市に作りました。また同時に、毎年大連市に3つの公園の建設をしました。また、大連の郊外に毎年1000万本の木を植えました。過去5年間で、大連市内を走る公共バスの3分の2を更新しました。多くのホテル、オフィスビル、百貨店も建てられました。中でも代表的なものは、日本の森ビルと、香港のシャングリラホテルでございます。また我々が非常に自慢に思っているものは、大連で非常に良いゴルフ場を作ったことです。金石灘というゴルフ場です。米国の設計士によって設計されたものですので、米国人から米国のゴルフ場よりも素晴らしいと言われています。
 今、大連に長期滞在の外国人の数も年々増えていまして、日本人だけでも5000人くらい居ます。彼らのためにも、できるだけ快適な生活環境をを作りたいと思います。私どもの街づくりのキャッチフレーズは「最大を求めず、最良を求める」であります。将来中国最大の都市になることを目指しませんが、中国で最も美しく、清潔でしかも車の渋滞のない市民生活が快適な都市に仕上げていきたいと考えております。
 過去5年間、大連市で新たに増加した固定資産総額は、過去40年間の合計よりも多かったのです。去年の大連のインフレ率は1%に抑えることに成功しました。そして、過去5年間平均して、毎年のGDPの増加率は15.6%でした。また、過去5年間で3分の1の市民が新居に引っ越しました。
 大連はまた日本に近く、関係も緊密であります。今現在、日本のキャノン、東芝、三洋、松下電機、TOTO、三菱電機など多くの企業が大連に進出しました。また、私どもが非常に喜んでおりますが、貴県のYKKも大連で非常に順調に発展しています。特に中日両国の経済交流のシンボルである大連工業団地も大きな進展を得ることができました。主に、工業団地は中小企業を対象に誘致しているところであります。去年日本の橋本総理にも団地の発展に対して非常に大きな期待をしていただいております。また、中国の前総理である李 鵬前総理にも、また、現在の朱鎔基総理にも工業団地の発展に対して非常に支援を頂いているところであります。
 今、日本の東京三菱銀行、日本興業銀行、第一勧業銀行、三和銀行、富士銀行などの大銀行が大連で支店を開設しているので、日本企業にとって融資が非常に便利になりました。最近、中日両国の総理の約束により、中国国内で環境モデル地域の建設というプロジェクトが決まり、大連は最初のテスト都市として選ばれました。
 今、大連から日本との間の交通も非常に便利になりまして、週22便の飛行機が大連と日本との間を飛び交っています。また、今年の6月17日に大連-富山間の定期路線も開設されることになります。そうすると、2時間半くらいでくることができるようになると思います。また、日本の全日空、伊藤忠、ジェトロなども大連で有意義なイベントを開催しました。毎年、日本のNHKも大連にきまして、大連のことを日本国民に紹介していただいているところです。
 海外にもいる大連の名誉市民は57名いますけれども、その内36名は日本の方でありあます。毎年、日本のキャノンの協賛を得まして、大連で若い人体操の日本語弁論大会を行っております。今、大連の日本語の人材が非常に豊富であります。私の聞いたところによりますと、今中国では、天津で5000名くらいの日本語を話せる人がおり、上海では1万人ぐらいです。大連には5万人もいるのです。ですから、富山の皆様が大連に来られましても、ぜんぜん苦労することはありません。私の前任である魏富海市長は、とても日本語が堪能な方でした。私もいま、日本語の勉強を一生懸命やっているところです。私の覚えている日本語の単語はみんな食べ物に関することばかりです。・・さしみ、うに、おいしいしゃぶしゃぶ、ビール・・ただし、私は毎日のように日本お方と会っていますので、に本保を勉強する条件が非常によろしいと思います。
 大連市は今後、次のいくつかの面において是非富山県と交流を進めてまいりたいと思います。まず工業投資であります。例えば、電子、情報、機械、製造、薬品、加工、紡績、ファッション、建築材料、医薬品製造、水産品と農産品の加工などの分野においては、是非交流を進めて参りたいと思います。大企業の大連への進出を歓迎するだけでなく、特に中小企業の皆様野進出も歓迎しております。実際、現在大連に進出した日系企業のほとんどが中小企業でもあります。非常によくお付き合いをさせていただいておりまして、まるで家族の一員のように付き合っております。是非、中小企業の皆様、大連と日本の合弁で作られている工業団地への進出を期待しております。大連としては積極的に支援してまいりたいと思います。 また、第2番目は商業、貿易、金融、不動産などの面においての交流であります。
 これから、海と空の運輸、不動産、そして百貨店、マンションの建設。またレジャー施設などの面においても是非交流を深めて参りたいと思います。それから、国際会議の開催と、展示会の開催なども協力したいと思います。大連で新しく完成したコンベンションセンターの中では、1千個の標準ブースを設けることができます。去年は33回の展示会をやりまして、1300社の外国企業の出展がありました。毎年大連の展示場ではモーターショーやファッション関係、電子、家具、機械、児童玩具、花などの展示館を開催しておりますので、是非皆さん方の出展を期待しております。
 また、観光とか、文化、スポーツなどの面においての交流も期待しております。だいれんにきていただきましたら、きっと大連を好きになれると思います。大連という都市は、中国では比叙位うに特色のある町でありまして、特に市民の身長が高いものでありまして、平均身長は、中国の南より7ミリほど高いと聞いております。そして特に、スポーツ選手とダンサーをたくさん排出しております。また、映画俳優もたくさん出ました。
 最近、大連市では外国の投資者のために、投資環境を改善するための50項目の規定を打ち出しました。外国の投資企業から出されたすべての問題を一週間以内に、解決しなければならないと約束しています。大連には日本に習って、すぐやる課というセクションをつくりまして、外国企業から出された問題をすぐやらなければならないという体制を整えております。また、私たちの税項目も今できるだけ簡素化し、そして透明化にしているところであります。年頭に収めなければならない税目をちゃんと明記しまして、その後の料金一切を認めません。今回の代表団のメンバーには、大連税関長も加わっていただいております。その目的は今後、富山県の企業が進出するときに是非税の面においては宜しくお願いしたいからです。今、大連の税関は中国北方の最大の税関であります。輸出入税は上海が一番ですが、輸出入トン数は大連が一番であります。彼は今、私の指導下にはいませんけれど、私たちの友人ですので、富山県の皆さんのために、きっと特別な配慮をしてくれると思います。そうでしょう。
 また、大連市は日本児童の就学のために、日本人学校も作りました。これは中国で初めての日本人学校であります。また、市内に日本人向けの別荘と病院も作りました。今アジアでは、特に金融では非常に大きな振動が起こっている時期であります。こんな状況の下でも過去10年以内に大連に進出したすべての外国人企業の経営状態は非常に順調であります。キャノンの場合は最初の投資は3千万ドルしかありませんでしたが、いますでに、3億ドルに膨らんできました。また、最近中国の朱総理がこれから中国に進出する企業の整備、輸入の関税を免除するというふに内外に明言しました。また、中国国内のマーケットもだんだん成長してきましたので、外国の投資者にとっては、これから中国国内に向けての販売を行うことに対しても大きな可能性が出てくるようになりました。ちなみに、新しく中国の外務大臣、外務部長に選ばれた唐さんは日本語の堪能な方であります。これを見ても中国政府がいかに対日交流を重視しているかを伺い知ることができると思います。
 富山県は非常に活力にあふれて、とても実力あるけんでありますので、これからの日本経済の発展の中でとても重要な役割を演ずることになると思います。
 過去10年間、大連市と富山県の間にはすでに積極的に友好関係を発展してまいりました。中沖知事も過去5回も大連にいらっしゃいました。また、富山県の若い人も友好の船でよく大連にいらっしゃいました。しかも今、海上ルートも開通しましたし、航空便もまもなく開通されることになっています。大連市は富山県との経済文化交流を非常に大事にして参りたいと思います。大連市の関係部署は必ず富山県からの進出企業に対して、全面的な支援をしたいと思います。
 是非、皆様が、年内に大連を訪問されることを期待しております。本日たくさんご来場いただきまして大変ありがとうございました。是非本日が今後の交流と協力のスタートになることを期待しております。ありがとうございます。  





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