孫さんの中国ミニコーナー アジア経済メールマガジン「Biweekly」に連載中!

当センターが配信するメールマガジン:アジア経済メールマガジン「Biweekly」(隔週発行)では、アジア経済交流センターの中国人職員孫さんによる中国の耳寄りなビジネス情報を連載しています(不定期連載)。本ウェブサイトでも掲載記事をご紹介します。

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第1回 中国での SNS 事情 (1)

2021年10月22日

「自社製品を是非とも中国に売りたい!」と、FacebookやTwitterで一生懸命に商品紹介されている方はいらっしゃいませんか?
実は、中国国内ではネット検閲が厳しいため、日本でよく利用されているLINE、Facebook、Twitterの使用や閲覧が出来ません。そのため中国国内では独自のSNSが発達しています。

デジタル化がさらに進む中、今の中国は口コミ大国・SNS大国と言われます。コロナの影響により、日本国内での販売が伸び悩み、中国市場向けに商品を展開しようとする企業も増加していますが、中国におけるSNSでの情報発信はとても重要と言えます。そのSNSの使い方について、中国人と日本人は違いがあります。日本人の認識として、SNSはプライベートで友人や親族と連絡するときのみに使用するものだと考えている人が多いようですが、中国ではプライベートと仕事、両方で使う人がとても多いです。現在中国国内で一番使われている【Wechat】というスマートフォン向け無料SNSアプリのユーザー数は2018年で10.4億人を超え、中国最大となっていて、国民SNSとも呼ばれています。
中国人と知り合った場合、名刺よりもWechat IDを交換する方がほうが多いです。中国人は、定期的にメールを確認する習慣がなく、仕事上のやり取りもWechatで行っています。行政機関も企業も、トップ、管理者から一般な職員まで、Wechatで連絡を取りながら社内業務を進めるケースが多いです。チャットグループの作成が簡単なので、仕事に関する指示、社内情報などすぐチャットグループで共有されます。

さて、今回は、中国で使用できないSNSや中国でのSNSや使われ方についてご紹介しましたが、次回からは、主に中国国内で使用されているSNS・サービスの主なものついて個別にご紹介したいと思います。
乞うご期待!

第2回 中国でのSNS事情-WeChatについて

2021年11月19日

皆さん、こんにちは。 今回からしばらくは、主に中国国内で使用されているSNS・サービスについて1つずつご紹介します。まず、現在中国国内で名刺の代わりに使用されている、一番使われている「国民SNS」のWeChatについて、詳しくご説明したいと思います。

1. WeChatとは
中国のIT企業テンセント(騰訊)が提供し、スマートフォン向け無料通信アプリです。中国語では『微信(ウェイシン)』と呼びます。

2. 機能
基本的なメッセージのやり取り、タイムラインへの投稿から始まり、現在は公共料金支払いやスマホ決済、理財・投資までもができ、つい最近ライブ配信という新しい機能もできました。この機能を利用したライブコマースでの販売方法が主流になりつつあります。県内でも、11月11日(中国の「独身の日」)に、富山県伝統工芸品のライブ販売を行いました。途中私も参加し、少しだけ顔見せもしましたので、詳しくは別の機会にご紹介できればと思います。

3. 使い方
無料アプリなので、手軽にスマートフォンにアプリをダウンロードしてすぐ使えます。ダウンロード後、画面の表示に従って必要事項を入力すると、ログインできます。無料通話も可能で、国際通話もでき、写真、動画以外に資料(word, excel, pdf等)も送ることもできるので、取引先との連絡にとても便利なので、オフィスツールとしても使われます。 このように、WeChatはとても便利なSNSで、中国国内では約11億人が使っています。中国との取引を考えられている皆さんは、是非使ってみてくださいね。

次回は、中国で企業のマーケティング等にも活用されている「小紅書 (RED)」についてご紹介予定です。乞うご期待!

第3回 中国でのSNS事情
- 小紅書(RED/レッド)について

2021年12月17日

皆さん、こんにちは。
今回紹介する小紅書 (RED)というアプリは、最近中国で人気になっており、私自身もよく使用しています。小紅書 (RED)は中国語で「小红书」と書きます。中国版の「インスタグラム」とも呼ばれています。

中国ではソーシャルコマースと呼ばれる、ソーシャルメディア(SNS)からの情報発信や口コミからECサイトなどでの商品の購入につなげていく販売手法が一般化しています。小紅書 (RED)は、中国最大のソーシャルコマースプラットフォームであり、「世界中の良いモノが見つかる」をメインコンセプトにしています。

ダウンロード数約3億人、月間アクティブユーザー数約1億人を突破し、前回ご紹介したWeChatと肩を並べる、中国5大ソーシャルメディアプラットフォームの内の1社として急成長を遂げています。

ユーザーの特徴としては、登録者の約8割が女性で、年齢層としては20歳~35歳がメイン、多くは都市部に在住し可処分所得が高い傾向にあります。また、都市居住者の中でも、中国では、第一、二線都市と呼ばれる北京や上海、深圳といった大都市に住む女性のユーザーが多く、このような人たちの購買能力は平均水準以上であり、高品質なライフスタイルを求める傾向にあります。

女性の投稿ジャンルは「スキンケア」、「メイク」、「旅行」、「グルメ」、「ファッション」などが多いです。多様な体験を写真や動画を交えて投稿し、それをユーザー間で情報共有を行うものとして重宝されています。

すべての日常生活に関わる口コミ投稿型のSNSであり、直接商品を購入することが可能なEC機能も備えています。気になった商品や行きたい場所を小紅書 (RED)で検索することが一般化してきており、消費行動に大きな影響を与えています。

次回は、この小紅書 (RED)というアプリを企業側がどのように利用していくべきか、ご紹介したいと思います。 乞うご期待!

第4回 中国でのSNS事情
- 小紅書(RED/レッド)について (2)

2022年1月21日

皆さん、こんにちは。
前号に引き続き小紅書 (RED)についてご紹介したいと思います。

小紅書 (RED)のホーム画面の形式は「インスタグラム」と似ていて、画像や動画がメインとなる投稿形式や使い方も類似するため「中国版インスタグラム」とも呼ばれています。日本でインスタグラムを使用したことがある方であれば直感的に操作できるかもしれません。また、「インスタグラム」と同じようにEC機能も搭載しています。投稿画面に購入用のリンクを貼ることで、閲覧した人がクリックをすれば直接商品が購入でき、非常に便利な仕組みとなっています。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、休業や営業時間の短縮などの影響が続く中、お客さんの減少により日本の小売や消費者向け製品の製造業界、特に中小企業は、前代未聞の影響を受けているところも少なくないと聞いています。コロナ禍で実店舗での販売や新規の販路開拓がうまくいっていない場合は、こういう中国で人気のSNSを使って、中国にまだ進出していない商品でも、ブランドコンセプトを少しずつ消費者に伝え、商品の最新情報や活動状況を日々紹介することで、認知度の向上を図ることはおすすめです。

日本国内で通常使用されているスマートフォンでも小紅書 (RED)のダウンロードと使用が可能です。中国では、日本の良い物、観光地に関する情報収集のニーズが日々高まっているため、日本在住の中国人や訪日中国人によって、小紅書内で日本に関する投稿が増加しています。

日本人でもアカウントを作成し、小紅書 (RED)内で活躍されている方は既におられます。実は、富山県内企業にも既に公式アカウントを持っている ところを見つけました。中国では、SNSを経由して商品を宣伝することが当然のようになっています。会社や製品の特長をうまく伝えることができ、通常の広告より安い費用で予想以上の宣伝効果を期待できる可能性があります。

皆さん、いかがでしたでしょうか?早い者勝ちと言っても過言ではありません。まだ、活用されている企業が少ないうちに、ぜひ、早めにお試しください。まずダウンロードして、覗いてみたらいかがでしょうか?

第5回 中国でのSNS事情
- 抖音(Douyin/ドウイン)について

2022年2月18日

皆さん、こんにちは。
皆さんは、「TikTok」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?日本では、2018年頃より若者を中心に爆発的に流行したSNSの名前です。このSNSアプリは、一時アプリのダウンロード数ランキングで一位になったこともあるので、ご存じの方も多いかもしれません。

TikTokには、ショートムービーと呼ばれる短時間の動画を投稿する事が出来ます。また、撮影した映像や、作成したアニメーションにTikTok上で様々な特殊効果やBGMを付けて投稿することが可能で、視聴者は動画を見て他の利用者にシェア(共有)したり、コメントを付けたりできます。

さて、このTikTokを運営しているのが実は中国の会社ということをご存知でしたか?「バイトダンス」(bytedance)という中国の会社が運営しています。この会社はTikTokのようなアプリを世界中で運営していますが、中国のオリジナル版と海外版(日本を含め)ではその内容に大きな違いがあります。
今回はその違いについてご紹介させて頂きたいと思います。主な違いは以下のとおりです。

1. 中国オリジナル版は「TikTok」と呼ばず、「抖音 (Douyin)」と呼んでいます。“ドウイン”と発音します。
2. 日本のTikTokでは、投稿される内容は音楽に合わせたショートムービーが主流ですが、抖音にはそれ以上に多種多様な動画がアップされています。
3. 抖音はライブ配信ができます。リアルタイムで配信者と交流できる距離の近さが魅力で、多くのユーザーに利用されています。
4. 抖音では動画をアップロードする際に位置情報を指定する事で、その観光地や飲食店のホームページへ視聴者を誘導することが可能です。さらにクーポンを配布することもできます。

様々な機能のある抖音ですが、さらに2019年からライブコマース機能のテストと導入を進めてきました。次回はそのライブコマース機能について詳しく説明したいと思います。

第6回 中国でのSNS事情
- 抖音(Douyin/ドウイン)について(2)

2022年5月6日

皆様お久しぶりです。3月に私も講師の一人として講演させていただいた「中国ビジネスセミナー」が開催された関係で、前回より間が空いてしまいました。楽しみにされていた方には申し訳ございません。
今回は前号に引き続き抖音(Douyin/ドウイン)のライブコマースについて、詳しく紹介したいと思います。

さて、これまでも何度かライブコマースという言葉をご紹介させていただきましたが、2017年から中国のライブコマース市場は、急速な成長を遂げています。ライブコマースは、インターネットを通じた動画のライブ配信での商品の紹介と物販を組み合わせた販売手法のことです。ライブ配信中に商品を紹介し、視聴者をECサイトなどに誘導して商品を販売します。2019年は中国の「ライブコマース元年」と呼ばれ、前年と比べ150%以上の成長となりました。また、2020年上半期には、新型コロナウイルスの影響で、「オフライン店舗に行かずとも、リアルなオンラインショッピングが体験できる」と消費者に絶賛され、ライブコマースというワードがさらに定着しました。

抖音(Douyin/ドウイン)は 2019 年から、ライブコマースのテストと導入を進めてきました。この新機能を利用すると、ライブで商品を紹介でき、ユーザーはワンクリックで商品を購入できます。中国ではすでに定着している EC の販売手法で、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれるインフルエンサーによるライブコマースが盛んに行われています。県内の日本酒とサプリメントなど、すでにこちらで売り出しているようです。

多くの方が取り組んでいるライブ配信ですが、ルールがあります。話しちゃいけないことを話したら、すぐ「警告」の表示が配信者の画面に映ります。さらに、二回ルール違反したら、ライブ室を閉じられることもあります。今後、この業界の規範化やネット配信者の管理が厳しくなることは間違いないと思います。

日本の商品を中国巨大市場に販売していくという選択は、日本企業の今後の成長に向けた重要な戦略だと考えています。中国市場で成功するためには、中国式の売り方にチャンレンジする必要があります。その答えはずばり「ライブコマースへのチャレンジ」かもしれませんね。

第7回 中国でのSNS事情
- 快手(クアイショウ)について

2022年6月3日

現在、中国では老若男女問わず、電子マネーを使用しています。財布としての役割も担うスマホは、日常生活に欠かせません。年代を問わずスマホの保有率が高く、そのためSNSの利用率も高くなっています。中国は世界一の人口を抱える国ですから、その多くが使うSNSが与える影響力は非常に大きいと思います。そのため、中国進出を狙うのであれば、SNSの活用は必須と言えます。
今回は中国向け越境ECとしても使える人気のSNS「快手(クアイショウ)」をご紹介します。

快手は、中国の北京快手科技有限公司が開発・運営しているスマホ向けショートビデオアプリです。2012年にサービスをスタートし、ユーザー数は2019年に7億人を突破しました。ビデオの投稿、編集、ライブストリーミングサービスなどを融合させたSNSとして、中国ではとても有名なアプリケーションとなっています。

日本ではほとんど知名度はありませんが、中国国内では前回ご紹介した「抖音」の最大のライバルとして人気を博しています。【北快手、南抖音】という言葉まであり、中国国内のショートビデオアプリ分野は二極化していることがわかります。快手では「记录世界记录你(世界を、あなたを記録する)」をスローガンとし、ユーザー同士がありふれた生活を記録し、共有、交流することを目的としているのに対し、抖音では、「记录美好生活(美しい人生を記録する)」をスローガンとして、主に若者のトレンディな音楽やダンス、パフォーマンスなどのビデオに特殊効果を多数活用して美しい日々を記録することを目的としています。両方ともライブコマース機能があります。
次回もこの快手(クアイショウ)について、詳しく紹介したいと思います。

第8回 中国でのSNS事情
- 快手(クアイショウ)について(2)

2022年8月26日

さて、今回は快手(クアイショウ)のユーザーやコンテンツについてご紹介したいと思います。

快手(クアイショウ)のユーザーは中国地方都市や田舎に、抖音(Douyin/ドウイン)ユーザーは中国一級・二級都市(いわゆる大都市)に暮らしている傾向にあると言われています。この違いは投稿されるコンテンツにも現れており、快手には素朴な動画が、抖音には洗練された動画が多く投稿されています。

使いやすい動画編集の機能も付いていて、スタンプやBGMを付けたり明るさを調整したり、といった操作が簡単にできます。編集ソフトを別にダウンロードする必要はありません。撮影→編集→投稿の作業を一つのアプリで簡単に手早く完成させる事が出来る、この手軽さが人気の一つだと考えられます。

ライブコマースもライバルの抖音と同様にもちろん可能です。快手のライブコマースは、企業や有名人に限られず、一般の方も気軽に行うことができます。これも快手の人気の一つです。データによると、快手が独自構築したECプラットフォーム「快手小店」の2020年のよる売り上げは3800億元(約6兆円)に達しました。

さて、快手に限られたことではありませんが、中国向けマーケティングにおいて、SNSは今や必要不可欠なツールになっています。手軽に撮影から投稿までできる快手では、通常の動画投稿はもちろん、インフルエンサーの起用やライブコマースなども有効なマーケティング手段となりえます。さまざまな用途がある快手のようなSNSを越境ECやインバウンド対策に活用してみてはいかがでしょうか。

孫肖(ソン・ショウ)

◆富山県生活環境文化部国際課 経済・貿易連絡員
◆(公財)富山県新世紀産業機構アジア経済交流センター 経済・貿易連絡員

孫肖 経済・貿易連絡員

【経歴】
中国の高校を卒業後、留学のため来日。東京都の大学、大学院を卒業した後、中国遼寧省瀋陽市の地方政府に勤務。2017年に遼寧省の推薦で富山県へ国際交流員として派遣され2019年から経済・貿易連絡員となる。2021年9月より、当センターでの勤務を開始。

【自己紹介】
皆さん、こんにちは!
中国遼寧省から参りました孫肖と申します。学生時代に日本に留学し、2007年大学院卒業後、中国に戻り地方政府に勤務しアジア地域との国際友好交流と経済貿易協力を担当しておりました。2017年から省の推薦で富山県に国際交流員として派遣され、2019年から経済・貿易連絡員を務めておりましたが、この度TONIO(富山県新世紀産業機構)でも勤務させていただくことになり、非常にうれしく思っております。

富山県に来てもう4年半になりましたが、豊かな自然や子育て環境などの住みやすさに触れとても気に入っています。ものづくりの伝統、多種多様な製品等の富山県の強みを肌で感じ、母国での仕事で10年間培ってきたビジネス経験及びネットワークを生かして、富山県の魅力をぜひ中国へ発信し、富山県企業のより広い販路開拓に役立ちたいと願っています。

以前、中国で企業誘致や立地通商などに携わっており、日本の大手化粧品メーカーの初進出も手掛けたことがあります。中国進出・会社設立に関しての各種手続き等のお問い合わせならお気軽にお尋ねください。また、中国SNSプロモーション、ライブ販売等のご相談も歓迎します。